Home » 大牟田市のこと » 認知症の方を見守る「大牟田方式」と傾聴ボランティア

認知症の方を見守る「大牟田方式」と傾聴ボランティア

福岡県大牟田市にきて、ひょんなことから傾聴ボランティアを始めてはや11年目に突入している。
大牟田市の人口は115,557人(2018年10月1日現在)。このうち65歳以上の方は41,434人。さらにお一人暮らしの65歳以上の方は相当数いらっしゃるようで、大牟田市の統計では「高齢者単身世帯数」 14,527人とあるものの…

本統計における『高齢者単身世帯数』は、住民基本台帳より65歳以上の単身世帯数を抽出したものであり、同一住居に2世帯以上が同居している場合等を含みます。


大牟田市役所のサイト

と書いてあるので、高齢者単身世帯数というのは、65歳以上のお一人暮らしの数だけでなく、子どもさん家族と同居している、離別された独身の65歳以上の方も含むんだよ、ということ?(よくわからないのでどなたか教えてください💦)

さて、2004年(平成16年)に発足した大牟田市のはやめ南地区の「はやめ南人情ネットワーク」が始めた行方不明の認知症の方々を見守る活動(徘徊※模擬訓練)は、2006年(平成18年)、大牟田市(福岡県)と荒尾市(熊本県)で「愛情ねっと」というネットワークで認知症の方々を見守る体制となった。

「愛情ねっと」とは、メール配信に登録した地区住民へ、行方不明者(主に認知症の方)の情報(その他地域の災害やイベント情報も流している)を一斉にメール配信。特に行方不明者に関しては住民、市役所、警察署あげて捜索をする取り組みがなされている。

このような認知症の方々を見守る取り組みは「大牟田方式」として全国にも知られるようになった。 2014年には南関町、2015年には長洲町(いずれも熊本県)でも運用が始まった(現在ではコミュニティFMのFMたんとアプリでも配信されるようになった)

また、2008年(平成20年)には、傾聴ボランティア「うさぎ」が立ち上がる。傾聴ボランティアとは、主に高齢のお一人暮らしの方のお宅へ訪問し、その方のお話に寄り添う活動である。(「うさぎ」の他にも傾聴ボランティアグループは立ち上がったが、私は現状を把握できていないので、ご存知でしたら教えてください)

一番長く活動をしているのが「うさぎ」で、大牟田市社会福祉協議会にも登録しているボランティア団体である。私も二期生として2008年末ごろ参加し始めた。
原則として、大牟田市や社会福祉協議会が主催する「傾聴ボランティア講座」を受講した者が登録をし、 社会福祉協議会や民生委員等と連携してお一人暮らしの方々のところへ訪問し行うものである。が、施設や病院等で傾聴を行う場合も多い。

私もこれまでに、お一人暮らしの90代の女性や、30代の男性(ご病気で外出できない)、80代の女性宅へ訪問、傾聴ボランティアをしてきた。
お一人暮らしの方々の「お話」を引き出すことで、ひいては認知症予防という役割も果たすものであるが、 「話し相手」とは少し違い、あくまでその方に寄り添う。

主役はその方。お話しされればそれに対して私たちは共感したり、うなずいたり、こちら側からそっと、話題をふったり。その方がお話しされなければしばらく沈黙があることもある。信頼関係ができると、自然と双方の口数が増えることもあるが、基本的に私たちは聞き役でアドバイスをする立場ではない(ご病気でお話しできない方に対してはこちら側からお話しすることもある。ケースバイケース)。

このボランティアを続けてわかったのは、ある意味「がんばらなくていい」ということ。「今日はこういう目標を立ててこういう話をしよう」と気構えることはなく、「うさぎ」に所属する70代のメンバーがおっしゃるには、「昭和の時代にはあった隣近所で声を掛け合ったり、お茶のみに行ったり、それが今は希薄になっているから、それを再現するような活動だよ。だから、『いい加減』でいいの。『良い加減』でね。」ということなのだ。

…とここで、「えっ70代のメンバー?」と思われた方もいらっしゃるかもしれない。そう、傾聴ボランティアは、主に高齢の方々の傾聴をするのだが、ボランティアメンバーもなかなかの高齢化率。なかには、今月は傾聴に行く日をうっかり忘れていたなんて方もいらっしゃって、結構のどかに、のんびりやっている。

こんながんばらない傾聴をやってきて10年、実は、傾聴する私は以下のようなプレゼントを頂いている。

  • その方が生きてこられた時代の貴重なお話
  • その方の所作や礼儀
  • その方の優しさ
  • 私が傾聴活動以外で誰かの話を聞くときの耳の傾け方
  • バイオリンを弾く心構え

バイオリンを弾く心構えというのは、残念ながら数年前にお亡くなりになられたが、7年間もう一人の傾聴メンバーとともに伺ったYさんから学んだことである。7年間も傾聴をしているともう友達のような感覚で、傾聴の枠を超えたお付き合いをさせていただいていて、お誕生会やらクリスマス会やらイベントをYさん宅でやっていた。そして、私もそのたびにバイオリンを持参して演奏していた。

曲のリクエストをお尋ねすると 「金剛石」や「水は器」が聴きたいとのこと。お父様が満鉄にお勤めだったため、朝鮮半島で生まれ育ち、戦後、日本の土を踏んだYさん。日本統治下の朝鮮半島で女学校時代に歌った歌なのだ。

私は早速ネットで楽譜を調べ、他にもYさんがよくお聞きになったであろう、「人生の並木道」や「影を慕いて」など数曲持参して、Yさんの誕生会で演奏した。

演奏中、Yさんが、もう一人のメンバーに「そこのふすまを開けてもらえませんか」とおっしゃる。

開けるとそこには仏壇…

「亡くなった主人に聞かせたいから」

目の前にいる人、そして目には見えないけれど、祈ったら届くかもしれない人に届くように、そんな気持ちで演奏をしようと思った日だった。

そしてYさんにお話しできなかったけれど、今では新たな目的地に向かって私はバイオリンを弾いています。他にも傾聴ボランティアで学んだことがあったから。こちらもぜひお読み頂き、賛同して下さったらうれしいです。

「大牟田方式」についての参考記事↓

認知症の高齢者を地域ぐるみで見守る活動で、第4回地域再生大賞の最高賞に選ばれた大牟田市の住民団体「はやめ南人情ネットワーク」が23日、受賞と設立10周年の祝賀会を同市の駛馬南小学校で開いた。約150人が参加し、喜びをかみしめた。

認知症高齢者見守る「大牟田方式」とは 設立10年、地域再生大賞に
記者:御厨尚陽  2014年02月24日 03時00分 更新(西日本新聞経済電子版)


福岡県大牟田市は、認知症の人の事故や行方不明を防ぐ訓練の名称から「徘徊」を外し、15年から「認知症SOSネットワーク模擬訓練」として実施する。スローガンも「安心して徘徊できるまち」から「安心して外出できるまち」に変え、状況に応じ「道に迷っている」などと言い換えている。認知症の本人の声を尊重したという。


「徘徊」使いません 当事者の声踏まえ、見直しの動き
編集委員・清川卓史 2018年3月24日21時39分(朝日新聞デジタル)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Name
Email
Website