
がんばるのが当たり前すぎて もっとがんばる がんばったなーとおもうと 隣の人はもっとがんばっているから もっともっとがんばらなきゃ いつのまにか「がんばれ」「がんばれ」って じぶんに負荷をかけるのが日課になっていた 小さい頃からそれは刷り込まれていた がんばったら何かいいことがある がんばったら「光」が見える 最初におかしいなと思ったのは 受験勉強が終わった後 「あれっ?」 だけど、その違和感をわたしはなかったことにした またがむしゃらにいろんなことをやった 「がんばれ」「がんばれ」 研究もした、就職もした、それから色々あってついに心療内科のドアを開ける 特に何か診断名はついていない しばらく通ったけれどやめちゃって… だけどびっくりするような転機があって救われて そしてまた「がんばれ」「がんばれ」の日々が始まって 停滞して それでも「がんばれ」「がんばれ」… また転機があって独立した でもまた「がんばれ」「がんばれ」と自分を鼓舞していた… そしたらガンになった 「そしたら」なのかどうなのかわからないけれど… でも、ひとつわかることがある わたしはじぶんをいじめていたことに気づかなかった いや、気づいていたのに知らないふりをした 「がんばれ」「がんばれ」と心の中だけではなく 口にも出して鼓舞していた ストレスがガンの原因だとしたら、それは身体に現れていた わたしの場合は、頭痛がしたり、風邪をひいたり でも、周りと同じような環境でも わたしは人一倍風邪をひいていた気がする だからまた「がんばれ」「がんばれ」… 独立してからは風邪を引く頻度は少し下がったみたい わたしにとっては、職場にいるよりストレスがだいぶ減ったのだと思う 風邪とは別の頭痛(片頭痛)はもう幼少の頃からちょこちょこあるから まぁそれは諦めていた その頻度は変わらなかった そんなときガンになった 何かの原因があってすぐガンにはならない 「蓄積」があってガンになる そしてもうひとつ、最近思い出したものがある それは「音」だ ものすごく疲れているのに、明日までにこれをやらなきゃと鞭打って取り組む時、 よく頭の中で聞こえるのだ 「サクッ」という音が 痛みは伴わない 今まで気にもしなかったので 人に話したこともなかったけれど いつの頃からかこの音が聞こえるようになった しょっちゅうではないけれど、 子どもの頃もあったかな 職場にいた頃はあったと思う 独立した後もあった ガンになった後も確かにあった それが最近聞こえない コロナ後あたりから、なるべく「嫌なこと」を少しずつ避けて避けて やりたいことを少しずつやるようになった ガンになった経験もわたしをそうさせたのだと思う なんの心の準備もできていなかった時になったガン だから 「悔いのないように生きたい」と コロナで大切な人が亡くなったこともそれを加速させた 万事うまくいっているわけではないけれど「やりたいこと」を強引に推し進めた 人の助けも最大限借りた いや今も借りてる ほんとうにありがたいとおもう そしていま、頭痛も、風邪も頻度が減って、 あの「サクッ」という音はまったく聞こえなくなった 軽いのに、なんともいえない不気味な音 今でもはっきり思い出せる わたしの感覚では 「脳細胞が崩れて破壊される音」 「サクッ」 一回だけ鳴るのだけれど、脳内に響き渡る 「あーこのままじゃわたし死ぬな」と本能的に思う もう二度と聞きたくない コロナでは大切な人が亡くなった だからコロナに感謝なんてできない でも、あのコロナがなかったら、 わたしはまた「がんばれ」を連発して ストレスを溜めて 頭痛がして、風邪をひいて、 「サクッ」という音を聞いて そして、ガンを再発していたかもしれない あのなんともいえない「サクッ」という恐怖の音を もう聞かなくていいように わたしはわたしを労ってあげようと思う 「がんばれ」「がんばれ」のかわりに 「がんばったね」「だいじょうぶだよ」って 全力でじぶんに言ってあげようね