三池港でミジンコ
穏やかに流れる無数の波に溶け込むようなソプラノサックス。
2019.11.26晴れ時々曇り。
生暖かい日が続く、福岡県大牟田市は三池港。
鮮やかな水色のCDを聴きながら、これを書いている。
2015年に世界遺産となったこの港も
特別なイベントがない限りは、観光地とは程遠い静けさ。釣り糸を垂れる人が数人、穏やかな海である。
特に今日は平日。
港の車もさほど多くはなく、有明海の方角がきれいに見通せる右端の駐車スペースに停めると、車内は坂田明バンドが奏でる海辺のカフェとなる。
坂田明氏、来牟
坂田明さんは先月の福岡県大牟田市のライブの冒頭で
「大牟田には、三池港でミジンコを採取するときに来ました」と、ぼそっとおっしゃった。
きっと今日の三池港にも、ミジンコ達が無数に生まれ、賑やかに命を育んでいるのだろう。
坂田さんはミュージシャンであると同時に、ミジンコ研究家である。この本↓の巻末を見ると「07年、東京薬科大学生命科学部客員教授に就任」とある。
さて、10月坂田さんのライブが行われたのは
福岡県大牟田市の「大牟田ふじ」。
石炭産業が斜陽となる中、1960年の三井三池争議翌年、キャバレーホールとして創業した。
煌びやかなシャンデリアなどの装飾そのままに、2007年よりライブハウスとして生まれ変わり、いまや多くの国内外のアーティストがやってくる。
ここに坂田明さんはやってきた。
びっくり度肝を抜かされた、ヴォイスパフォーマーのChu Makinoさんも。
オープニングのトリオ(+α)、ミドリさん、じったさん、電卓さん(大分在住のサックス奏者「ミドリ」と福岡在住のドラマー「じった」と大牟田在住のCDJ奏者「電卓」の即興トリオ)ももう、なんというか形容できないのだが、純粋に面白かった。大牟田ふじでのあの一夜は、私の音楽の扉、もしかしたら、生命の扉が開けられたかもしれない。
鈴木大拙もよいけど
そういえば、生きることに悩んだら、鈴木大拙なんかいかが?なんて記事を以前書いたが、ミジンコいいかもと思わせるこの本。
鈴木大拙が、大地に足をつけ人間を見つめることを教えてくれるとすれば、坂田明さんは、海でミジンコを見つめ、透き通った命を見つめる神秘を教えてくれる。
坂田さんが、ゲージツカのクマさん(篠原勝之さん)からお中元に貰われたという、顕微鏡で初めて見たミジンコの感動の様子が克明に綴られている。
(ちなみに、私のオンガッカという肩書きも、実はゲージツ家さんからヒントを得た。バイオリニストや作曲家という鎧は、やっぱり重すぎた。)
また、坂田さんが、ご家族もちょっと巻き込んじまった(汗)ミジンコ育て方や、肉眼や顕微鏡で覗くその神秘と、ミジンコを観察する人間の生態?なんかも書かれていて、前半はミジンコ初心者でも楽しめる。
後半はミジンコの専門家3人との対談で、ミジンコを中心に見る生態系、遺伝子の話など専門的だが、前半で「ミジンコ脳」になった読者には、わかりやすい対談となっている。
実は、この本は実はライブに誘ってくれた方が買って私に先に読ませてくれたもの。早く返さねば!
この場を借りて(借りなくて直接言えばいいんだけど)御礼申し上げます。
アマゾンにもありましたし、全国を飛び回る坂田さんのライブでもお買い求めいただけます。
しかも冒頭でご紹介したCDはこの本の巻末に付いています↓。ぜひ海を見ながら聴いてみて!
ライブ終了後、握手をしてくださった坂田さんの手は、ふわふわしていてマシュマロのようでした(^^)/
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